音楽活動でプロを目指す人へ

音楽活動でプロを目指している人に読んでほしいブログです。長年、インディーズバンドで活動してきた僕の経験などを書き残していきます。これからプロを目指す方に、何かのお役に立てたらと思っています。

【初心者】パートを選ぶ ボーカル編(2)

ボーカルに必要な才能についてかいてみます。
まず、才能ウンヌンの前に、歌が上手いとは何かについてお話ししますね。

上手いか下手かの基準。
これは歌に限らず、楽器全般にも言えますが、
正確なリズム
正確な音程
十分な声量(音量、音圧)
を持っているかどうかという事になります。
色々異論もあるでしょうが、とりあえずこの場ではそう定義します。

リズムとは、正確なタイミングで、しかるべき強弱をつけて歌う事。
タイミングは非常にシビアでミリ秒の単位で。

音程はそのものズバリ。
バックの演奏に対しての、正確な相対音感。

声量も、必要最低限な量というものがあります。
よく、マイクで増幅すればよいと考える素人がいますが、声量ない人はライブでも全然聞こえませんよ。
マイクをあげると、雑音も拾いますから、ハウリングという現象がおきます。
また、音の圧と書いて音圧と言いますが、迫力の有無は、マイクの大きさではでません。
本人の声量次第です。

細かく言えば他にもあると思いますが、基本の要素はこの三つです。
でも僕はこれらを「才能」とは言ってませんよね。
これは後から練習で身につく能力だからです。
それどころか、プロのボーカルという観点からは、これらはあって当たり前。
もっと別の「才能」が必要になるのです。
スポーツ選手に例えると、これらは基礎体力みたいなものでしょうか。
生まれつき体が大きい人は、スポーツ選手になれる可能性が高いかもしれませんが、基礎体力だけではなれませんよね?
また、体が小さいと、確かに不利かもしれませんが、トレーニングにより基礎体力は上がります。
歌も、ある程度のセンスによって、上達のスピードは違いますが、三大要素はちゃんとしたトレーニングを真面目にこなせば身についていきます。
(ガムシャラにやってもダメで、ちゃんとしたトレーニング)

トレーニングしても下手な人は、本当にセンスがなかったのでしょう。
しかし、その判断はトレーニングしてみてからで遅くありません。

そんな事より、もっと大事な「才能」についてお答えします。

■人を惹きつける能力

ざっくりと、一言で言うとそうなります。

プロとは何か?
それはあなた本人、もしくはあなたの奏でる音楽に、他人がお金を払うという事です。

他人は滅多な事ではお金を払いません。
例えば世界が認めるオペラ歌手がいると思います。
技術力はポピュラーミュージックやロック歌手、アイドルより高いとします。

しかしあなたはそのオペラのCDを一枚でも持っているでしょうか?
持ってないはずです。
なぜならあなたはロックや、シンガーソングライターやアイドルの曲などが好きで、オペラに興味ないからです。

また、別の観点でいくと、例えばあなたが好きな曲があったとします。
しかし、その曲を歌っていた歌手が、何かスキャンダルを起こし、テレビでみかけるのも嫌になったとします。
その時、あなたはその人の新曲を買うでしょうか?

それでも「音楽は人格と関係ない」と言って、あなたは買うかもしれません。
でも、売り上げというものを左右するのは、そんな熱心なファンではなく、大多数の「ちょっと気に入ってる」という人たちなのです。
コアなファンだけで成立する、大御所ミュージシャンもいるかもしれませんが、その人はそもそも「人を惹きつける魅力」によって、コアなファンを獲得してきたので、一度の失敗では問題なかっただけです。

つまり、人を惹きつけるという能力は、プロにおいて最も重要な「才能」なのです。
これはボーカルには特なのです。
1人で歌っているなら尚更、バンドでやっていたとしても、ボーカルはバンドの代表です。
特に日本では、ボーカルが魅力ないのに成功したバンドはいないです。

ちなみにこういう事を書くと
「何だか金の話ばかりで、プロって汚いなぁ」という人がいるかもしれません。
そういう人はどうぞアマチュアでやっていってください。
そして、あまり多くの人に曲を聞かれないまま終わってしまう事でしょう。

プロとは協力者を巻き込む事です。
協力者は生活のために必要最低限のお金が必要です。
そのお金は、あなたの音楽の売り上げから出るのです。
だから、最低限の金銭感覚を持ってない人は、プロミュージシャンという、責任ある立場に立ってはいけません。

また、プロミュージシャンはお金が大好きなわけではありません。
金持ちになりたいだけなら、別の職業が良いでしょう。
では、なぜプロになるのか?
それは音楽をより多くの人に聴いてもらいたいからではないでしょうか?

プロになれば、多くの人に聴いてもらえるチャンスができます。
また、プロになれなくとも、プロを目指した活動をしていけば、より多くの人に聴いてもらえるチャンスは巡ってきます。
学校の友達が聞いてくれたら満足ならば、アマチュアのままで十分なのです。

では、人を惹きつけるとはどういう事でしょう?
それは「歌唱力」かもしれませんし、それ以外かもしれません。
それは何か?
長くなったのでまた次回お話ししますね。

歌の上手い下手だけでないのが、プロの面白いところであり、厳しいところであり、そしてあなたにもチャンスがあるかもしれない部分なのです。

では、また次回。